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2009年7月 6日 (月)

090629-090705

アントニー・D・スミス『選ばれた民―ナショナル・アイデンティティ、宗教、歴史 』青木書店、2007.
・・・言わずと知れた斯界の帝王が選民思想を中心に、ナショナル・アイデンティティを形成するに貢献する「文化的資源」の代表的な素材の発展と利用を(結構)包括的に論じているが、その適用のパースペクティブはかなり限られている。もちろんこれを枠組みとして参照することは有益であると思う。僕には6章が一番面白かった。あと、英語圏の人はPatriaという言葉を持たないせいで(patriotはある)、このネイション研究に大きなデメリットを追っているからロマンス語を勉強した方がいいと思う。冗談でなく、本当に。homelandじゃわからないでしょ。

山田詠美『風味絶佳 』文芸春秋、2005.
・・・この人正直苦手なので、暗澹たる気持ちで読んだのだけれど、やっぱり肌にあわない。世の中にはいいスノッブと悪いスノッブがあって、僕にとってこの人は後者だ。ところで長嶋有さんの『夕子ちゃんの近道 』あとがきに確かこの人が出てくるのだけれど、その時も非常に不愉快だった。ようするに、自分を棚上げしてかっこつけるという世の中の小説家皆がやっていることなのだが(林真理子とかさ)、この人がやるとあまりのちぐはぐさと、新刊を出す時に顔写真を添える広告の悪辣からどうしても、どうしても嫌な気持ちになる。もちろん、彼女のファンはそれでいいのだけど、僕が好きでない、ただそれだけ。『文学界』に掲載された短編集で「アトリエ」、「春眠」がよかったけれど、世の中もっといい作品はある。あ、装丁が良い。あと各話の扉絵が良い。

三島由紀夫『不道徳教育講座 』角川書店、1995.

・・・理由は分からないが、今回は苦手な書き手の本を読んでしまった。僕は三島由紀夫が嫌いだ。大嫌い。蛇蝎のごとく嫌っておる。文章の巧みなところがますます嫌いである。それくらい、つまり三島を嫌いな僕が惚れ惚れするほどいい文章を書く。その点、このエッセイはいいですよ。たいした文章を書いているわけではない。内容はこれ、結構面白くて、案外彼に親近感を抱いてしまいそうになりました。悪くない。

荒俣宏(編)『知識人99人の死に方 』角川文庫、2000.

・・・まず僕のように暗い人間はあまり読まないほうが良いのだけれど、それを踏まえて読むと死に様とは生き様です。ある作家が書いていることには、死という経験を持たないことで作家はどうしても創作を裏切っているというのだが、そう死んでしまえば死について語ることが出来ないので、当然これはパラドキシカルである。ドキドキしながら読んでいたけれど、人選(サンプルの取り方?)も面白い。就寝前に心臓の音に耳を澄ます人は読まないほうが良いと思う。

諏訪哲史「ロンバルディア遠景」『群像』2009年5月号。

・・・奇談とSMやグロ、現代詩が好きで、細かにおなじものが整列していると吐き気を覚える人は読むと良いかも。作者は『アサッテの人』の諏訪哲史さん。スノッブ(これは良い意味)で頭でっかちかもしれないが、僕は嫌いじゃない。ただそんなに優れた作でもない。半分くらいにしたらもっと良かったかも。こちらではもっと評価が高い。僕も(ほぼ)完全同意見なのに評価は低い。面白いものですね。

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